未成年でのたばこ・飲酒、万引きや深夜徘徊など将来重大な犯罪につながる恐れのある行為、または未成年が犯した犯罪行為をまとめて非行と呼びます。
その非行を行う未成年の少年を非行少年と呼ぶのが一般的です。非行には犯罪と紙一重と言える項目も含まれており、非行少年の行動には警察はもちろん地域の人々も目を光らせなければいけません。
非行と犯罪は、大きな関係があるように思えますが、実際非行少年は将来的に犯罪者になる傾向があるのでしょうか。
ここでは非行と犯罪について深く紹介していきます。
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非行と犯罪の違い
非行と犯罪の違いは少年法第3条に明確に記されており、日本の法律を犯すことが犯罪。その犯罪を少年(20歳未満 )が犯した場合を非行と呼びます。
処分などにも違いがあり、犯罪を犯した場合は刑事裁判が行われ、懲役刑又は禁錮刑の実刑判決を受けた場合に刑務所に送られ、収容されます。
それに対し、非行を犯した少年は家庭裁判所で判決が下され、少年の更生や保護を目的として保護観察処分を受けたり、矯正教育を行う少年院に収容されたりするのです。
言葉や意味合いは似ていても、処分などに大きな違いがあります。
非行に走った人は将来犯罪を犯しやすい?
非行に走った人が一概に将来犯罪行為を犯すとは限りません。しかし、非行少年と将来の犯罪行為を起こす傾向を調査したところ、「非行の時期が早いほど将来犯罪を繰り返しやすい」という結果が見えました。
この調査から小学生や中学校の低学年生の頃から頻繁に非行に走るとは将来的に犯罪を繰り返しやすいということになります。
全員が調査に当てはまるわけではありませんが、データ的にこのような傾向が見られます。
これを踏まえて、周囲に幼い頃から非行に走っている子どもがいた場合、その子どもの生育環境の問題も大きいことが多いことから、子どものみならず保護者や近隣の状況にも目配り気配りしながら適切に働き掛けを行う必要があるでしょう。
幼い頃から非行を行う子どもの3つの特徴
幼い頃から非行を行う子どもには大きく分けて3つの特徴が見られます。
- 親や家族からの虐待
- 愛情不足
- 感情や行動をコントロールする力が弱い
虐待や愛情不足など、家庭環境が影響していることがとても多いです。これは子どもに対して無関心な家庭で起きるもので、 子ども自身精神的に大きなダメージを受けていることがほとんど。
また、逆に子どもに対して甘すぎる家庭でも、非行の常習化や早期の非行行動に繋がることがあります。
子どもの非行に対して親が厳しく叱らないことから、子ども自身悪いことだと思わず、非行が常習化してしまうのです。
また、欲求が満たされない状況に耐えたり、先の大きな喜びや予測される不幸を回避するために感情をコントロールする力が十分に育っておらず、目先の欲求に左右される。その結果非行に及ぶようなことも生じます。
各地で取られている再犯防止対策
非行少年を犯罪を起こさせない人間へと更生させ、同じ過ちを犯させないためにも地域・少年院・刑務所などでそれぞれ再非行や再犯罪を防止するためのプログラム等が実施されています。
ここでは各所で行われている再犯防止対策について紹介していきます。
再犯防止のために取られている対策:地域
一見地域は無関係のようにも思えますが、再犯防止などと地域は大きな密接関係があります。
地域と連携して行われている施策として、警察の補導員・少年サポートセンターの活動・保護観察所の指導などが行われており、地域の人々の力を合わせて非行少年や犯罪者の再犯防止に努めています。
再犯防止のために取られている対策:少年院
少年院は刑罰を与える場ではなくあくまで更生を促す場所。そのため、基本的には自分の犯した行為を反省し、同年代の子ども達に劣らない知識や勉学を学べるように支援を行っています。
「出所しても居場所がない」ということを防ぐために、出所後どこで生活をするか、働いていけるように資格取得の支援などを行なっています。
居場所の明確化・社会に居場所を見つけるためのサポートも再犯防止の一つの施策です。
再犯防止のために取られている対策:刑務所
刑務所では改善指導プログラムと言う名称で、一人一人の犯した犯罪に関して問題性に着目し、再犯リスクや思考の改善などの指導を行なっています。
時には心理カウンセラーや臨床心理士とのカウンセリングも行い、自分の犯した行為について真剣に向き合い、犯罪から抜け出すためのマインドセットを身に着けるような活動もを行なっているのです。
また、出所後に就職を行い一定の生活レベルを保てるように、少年院同様に資格取得のための職業訓練なども行なっています。収容期間も少年院に比べて長いため、より本格的な技術指導を受けることができます。
ただし、そうした訓練は希望すればだれでも受けられるというものではなく、日常の生活行動や 適性、残された刑期などを考慮した上で選ばれる仕組みになっています。ですから、いくら本人が職業訓練を受けたくても受けられない場合もあります。
そういう場合は、社会内の受け入れ機関とタイアップしてできるだけ社会内で自立した生活ができるようにサポートしています。
犯罪を犯した人の再犯率とは?
引用(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201406/1.html)
初犯者・再犯者はピーク時に比べると多少は減少しています。再犯数は計測した当初に比べて増加している傾向にありますが、これは初犯者の数が減少したことによる影響が大きく、再犯者が増えたとは言えません。
しかし、もし再犯防止のための対策が効果的であれば、もっと再犯者数が減ってもおかしくないと考えられます。ですから、見方によっては再犯防止施策の効果が思うように発揮されていないと言えます。
近年は高齢者の犯罪・再犯が問題視されており、身寄りがないことが原因で犯罪に手を染める人もいます。高齢者問題は福祉の問題とも大きく関係しているため、刑務所だけで問題解決を図るというのは難しいと考えられます。
身元引受人があり、刑務所の中での生活状況や出所後の見通しが明るい人には仮釈放の対象とされ、定められた刑期よりも短い期間で刑務所から社会に戻ります。
しかし、犯罪を繰り返して身元を引き受けてくれるものもいない状況になると、定められた刑期の間刑務所で過ごすことになります。
これを満期釈放と言いますが、そうした満期釈放者の5年以内の再犯率は以下のグラフのようになっています。
引用(http://www.moj.go.jp/hisho/seisakuhyouka/hisho04_00035.html)
まとめ:再犯防止のためには周囲や地域の協力が必要
非行や犯罪を再発させないためには、当人の意識的な部分が大きく関わってきますが、当人の力だけではなく、家族のサポート・地域のサポートがとても大切になってきます。
自分の子どものことや、自分自身の事柄で悩みなどがあった場合は近くの相談センターの窓口などで気軽に相談することをおすすめします。
非行と犯罪を防止し、子ども達が明るい気持ちで生きていくことができるようにするためにも、大人としてときには厳しく、ときには優しく接していくことが求められます。
そして、地域ぐるみで非行や犯罪をしなくても済むような社会づくりを一人一人が心掛けていくことが大切ですね。