非行、いじめ…、子どもの問題で悩んだら?臨床心理士が伝える相談のコツ、心構え

「万引きや飲酒、子どもが非行に走っている…」「子どもがいじめに遭っているようだ…」そんな子どもに関する悩みはありませんか。

困っている時は自分や家族だけで抱え込まず、相談をおすすめしたいのですが、中には「どこに、どんな風に相談したらいいのか分からない」という人もいるのではないでしょうか。

今回は公認心理師・臨床心理士の資格を持ち、長年、非行少年らと向き合ってきた筆者が「子どもの問題についての相談のコツ、心構え」をお伝えします。また、子どもの問題を相談できる公的機関もご紹介します。

相談する際の心構え

まず、心に留めておいてほしいのは、問題を解決するのは相談者本人でもなければ相談を受ける側(カウンセラー)でもないということです。自分自身は問題解決の媒体に過ぎないくらいのつもりでいる方がいいかもしれません。というのは、自分が何とかしなくちゃと思うと、力みが生じて、問題がうまく解決しないことも往々にしてあります。

また、カウンセラーや相談を受ける人は心理学や行政の仕組みなど問題解決につながる情報を知っているかもしれません。しかし、いくら経験豊富なカウンセラーでも悩む人にとって最良の答えを出せるとは限りません。カウンセラーは問題解決のための糸口、ヒントをくれる人くらいのつもりで。カウンセラーを盲信し、依存してしまうとかえって問題解決から遠ざかってしまうこともあるので注意が必要です。

子どもを見てもどかしく思ったり大丈夫かしらと思って不安になったり自信を失ったりすることもありますが。子ども自身の成長力を信頼して見守ることが解決につながることも往々にしてあります。問題の解決は思いもよらぬところにあるかもしれません。

いずれにせよ、余り気負い過ぎずに対処するつもりでいることが大切です。 ただし、子どもが自殺や他害行為に及ぶおそれのあるときは、緊急に対応することが必要なことがあります。自分や家族の力だけではどうしようもないと感じるときは、警察に110番通報したり、消防署に119番通報して助けを求めましょう。

ひだかあさんのコメント

子どものことで相談する際は、決して自分が問題を解決しなきゃいけないと力まないことが大切です。ただし、命の危険があるときは、110番や119番に通報して対応を求めましょう。

無料相談と有料相談のメリット・デメリット

無料相談の場合

子どもに関する相談は児童相談所や法務少年支援センターなどの公的な機関では無料で受けられます(一部テスト用紙代などを請求されることも)。

一方、開業しているカウンセリングルームなどでは有料で相談を受けられます。では、無料相談と有料相談はそれぞれどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

無料相談は気楽に相談できるのがメリットです。しかし、どうせ無料だからと、せっかくのアドバイスを真剣に受け止めず、いい加減な気持ちで流してしまい、役に立てるチャンスを逃してしまうおそれもあります。

また詳しい相談が有料になっている場合の無料相談では、詳しい相談が受けられないことも。特にネットでの無料相談は、あくまで参考レベルと考えた方がよいでしょう。

無料でも、市町村や国の機関の相談は、きちんと税金を納めているのであれば有料相談に匹敵すると考えてもいいかもしれません。ただし、転勤などが頻繁な機関では、継続的に同じ相談員に相談できないような事態も生じがちです。

それでも公の相談機関に相談をしていて何か問題を感じたら、相談を受ける側に伝えてみましょう。伝えなければ分からなことも多いので、伝えることによって適切に対処してもらえるようになる可能性もあります。

有料相談の場合

では、有料相談の方はどうでしょうか。有料相談は、当然ですがお金がないと受けられないのがデメリットです。

しかし、自分が抱えている問題を解決するのに相談料を払うのは、それだけ自覚して相談するということ。カウンセラーとの関係を大切にして、積極的に問題に向き合うことにつながります。

参考URL:
子どもの相談が受けられる公的機関 ・子どもの非行問題などの相談(法務省)
24時間子どもSOSダイアル(文科省)
児童相談所連絡先(厚労省)

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相談する前にやっておきたいこと

相談前に自分のできる範囲で構わないので、自分が何に困っているのかを振り返っておくといいでしょう。紙や携帯電話やパソコンなどに箇条書きするような感じで書きだすと問題を客観視しやすくなるので、おすすめです。

例えば子どもが夜遊びしていて、何度注意しても夜遊びをやめない場合を例に考えてみましょう。夜遊びはいつから始まったのか、何時ごろ出て行って何時ごろ帰ってくるのか、週にどれくらい行くのか、具体的に書いてみましょう。そして、ある程度メモがたまった時点で、親である自分はどう思って、何に困っているかも書き出してみてください。

ただし、行き過ぎないように。子どものことで相談するのに、正確に記録しようとするあまり、子ども自身のことが見えなくなる危険性もあります。「いい加減」と言うと、ずさんな感じや中途半端な感じに聞こえるかもしれませんが、「程よい加減」「良い加減」に行うことが大事です。

また、相手をそのまま観ること、相手と自分との関係も少し距離を置いて観るつもりでいることも大切です。場合によっては、観察するだけで問題が見えてきて、解決することもあります。

相談中に気を付けたいこと

相談するときは、カウンセラーの言うことをメモしたり、カウンセラーの許可をもらって録音したりするのもいいです。相談している最中は分かったつもりでも後になると忘れることもよくあります。

また、相談しているときには助言された内容の意味がよく分からなくても、しばらくして理解できるようになることもありますね。 相談で面談を重ねていると、いろんな発見があるはずです。

助言を受けてこれは良いと思ったことは、実行してみましょう。その際、実行する前と実行してからを比較するために、記録してみてください。

アドバイスを実行する時は、まずは試してみる感覚で、心にゆとりを。試すという感覚は、結果を客観視することにつながるからです。良いと思ったら続け、良くないと思ったらなぜか理由を探す、やり方を変えてまたしばらく試す…。そんな感じで続け、できればその経過を記録しましょう。記録したことをもとに助言を受ければ、結果が出やすくなります。

カウンセラーも、相談者が熱心であると思うと、より丁寧に相談に応じてくれるかもしれません。相談中に、カウンセラーの言うことにひっかかりを感じることがあるかもしれませんが、それは変なことでも、珍しいことでもありません。カウンセラーが本当に的外れなことを言っていることもあれば、自分の弱点に触れられた際に、それを素直に受け入れることができない場合や、自らが変化することへの抵抗が生じている場合もあります。

また、自分が成長した結果、カウンセラーの助言が合わないと感じるようになったのかもしれません。相談をしていてしっくりこない、疑問に感じることも多いような場合は、ほかの所でセカンドオピニオンを聞くことが有効な場合もあります。ただし、「船頭多くして船山に上る」ということわざもあるように、てんでんばらばらの意見を聞くことでかえって混乱することもあります。ですから、セカンドオピニオンを聞くにしても、あくまで参考にするために聞くという気持ちを忘れず、子どもの様子を見ながら判断していくことが大切です。

子どものことで相談する場合:原因はどこに?

子どものことで相談をする際に、子どもが相談の場に来ないとダメという場合もあれば、家族全員で来てくださいという場合もありますし、親だけ来ればよいという場合もあります。また、親子関係のみに問題がとどまらない場合もあるので、よく状況を把握することが大切です。

歯の治療や手術を要するような場合は、子ども本人が来ないと話にならないかもしれません。状況によっては、子どもの遊戯療法や箱庭療法だけで問題が改善する場合もあります。子どもが変われば親も変わる。その結果、それまで問題だったことが問題でなくなることもあります。

もちろん、親子そろって相談する、あるいは家族療法というやり方もあり、家族全員で治療的な働きかけを受けることにより、家族の関係が変化し、子どもの問題と思われていた行動がなくなってしまうこともあります。親子双方、あるいは家族全体は変われば、相乗効果で早く問題が解決することもあります。

一方、親が変化するだけで子どもにも変化が生じ、問題が解決に向かうすることがよくあります。親が子どもに暴力をふるう、暴言を吐いて精神的に追い詰めているような場合、親に暴力や暴言をやめてもらうことで子どもの問題行動が消失することが多々あります。

親ではなく、兄弟や叔父叔母が子どもに暴力や暴言を吐くことでその子どもに問題行動が生じることもありますが、その場合は兄弟や叔父叔母に協力を求めることも必要になってきます。それぞれにストレス源が他にあることもあり、親子関係の調整だけでは問題が解決しないこともあります。ですから、子どもの問題行動だけを見るのではなく、その周りの状況をよく把握することが大切になります。

また、子も親も気が付いていない病気が原因で問題が生じることもあります。ごくまれにではありますが、子ども本人も親も気付かないうちに子どもに脳梗塞が生じていて、日常の生活や勉強、仕事ができなくなった結果、家族とも喧嘩をして家出をしてしまい、有り金も底をついておなかを減らしてコンビニで弁当を万引きしたといったケースもあります。

そのような場合、その原因となっている問題に気が付かないと、的外れな指導を受けてちっとも問題は解決しないというようなこともあり得ますが、ちゃんと問題に気が付いて医療的な措置を行うなどしてうまく対処することができれば、問題が解決することもあります。

その基礎となるのは周りの人による観察だったりします。 子どもを呼んでも返事をしないというとき、ひょっとしたらヘッドフォンを付けているかもしれません。それなのに大声で怒鳴ってみても子どもには届きません。状況を確かめに行くことも大切ですね。

親が原因という場合、親が子どもに期待をしすぎているような場合、子どもの負担になったり親自身が子どもが自分の思い通りにならないことでストレスをためていることもあります。そして、そのイライラ感から親子喧嘩をしたりということもあります。子どもに過度な期待をしているつもりはなくても、世間体や面子にこだわって、子どもにうるさく言っているのかもしれません。ですから、子どもの行動だけでなく、自分自身の感情や思いを振り返ってみることがとても大切です。

学校でのトラブルで悩んだら

子どもは学校でのいじめや教師の対応のつまずきがきっかけで問題行動を起こすこともあります。そのような場合、まずはどのような問題があるのか、子ども自身や子どもの友達でご自身も親しい親御さんがいらっしゃれば、情報交換をするなどした上で、必要があれば学校側に相談するといいでしょう。

何でも学校に言えばいいわけではありませんが、学校関連の問題、例えば同じ学校の生徒同士で賭け事をしてお金をやりとりしているとか、SNSで同級生から攻撃的な言葉が何度も送られていたといったケースです。この場合は学校側と協力して対処することが必要になるかもしれません。学校に相談しても積極的な対応がとられない、問題が深刻になっていく場合は以下のような専門機関に相談してみましょう。

子どもの人権110番(法務省)
各都道府県警察の相談窓口

ひだかあさんのコメント

問題を解決するために手助けしてくれる人はいます。困ったら専門家に相談してください。一緒に解決策を考えてくれるはずです。ただし、何のために悩み、何のために行動するのかを考え、全体を見渡すことが大切だということを忘れないでくださいね。

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