「性非行」といってもその定義はあいまいで、男性と女性でも違いがあります。性非行とは何でしょうか。
今回は性非行について取り上げ、子どもはなぜ性非行に走るのか、性非行とは具体的にどんなことなのかを解説します。
また、性非行を防ぐためにはどうしたらいいのかも考えてみたいと思います。
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性非行の主なパターン
一口に「性非行」といっても、男性と女性の性非行には大きな違いがあります。
ここでは男性と女性の主なパターンを見ていきましょう。
性非行に関して、女性は男性に比べると性被害に遭いやすいといえます。
性非行:男性の場合
男性の主な性非行には強制性交等や強制わいせつ、下着泥棒やのぞきなどがあげられます。
思春期に性的なことに関心が出てきて、性的な衝動や欲求が抑えられない、そして未熟で相手のことを思いやれない自己中心的な考えや支配欲から犯行に及んでしまうケースが多いようです。
しかし、自分の性器などを露出する公然わいせつは少ないという特徴があります。
性非行:女性の場合
女性の性非行で最も多いのは金品をもらってわいせつな行為をするいわゆる「援助交際」です。
わいせつな行為をせず、食事やデートだけで金品をもらうという場合もあります。また、自分が援助交際するのではなく、知人や友人に売春をあっせんするケースも。
女性の場合、性非行をきっかけに薬物に手を染めてしまい、薬物を買うために売春を重ねる、やくざに食い物にされるといったような深刻な事態になることも。
性病をうつされたり望まない妊娠といった被害に遭うこともあります。 その一方で、女性でありながら、自分の気に入らない女性に対して、男性とグルになって強制性交を行わせたり、周囲の女性に対して援助交際の相手を紹介し、自らは援助交際をすることなく紹介料を稼ぐようなケースもあります。
ひだかあさんのコメント
最近の性非行の特徴
SNS(会員制交流サイト)を利用し性被害に遭うケースが増え、低年齢化が進んでいます。また、性非行に走る子どもの中には発達障害など人とのコミュニケーションに問題を抱えている場合もあります。
少年犯罪は全体として減少傾向にありますが、強制性交等、強制わいせつの検挙件数は減っておらず、高止まりしています。
性犯罪は再犯しやすい犯罪であり、初めて性非行が発覚した段階でしっかりと本人にも家族にも働き掛けて更生させることが重要です。
ネット、スマホの普及で低年齢化
ネット、スマホが普及し誰でも気軽にSNSを利用するようになりました。SNSを利用した児童買春、児童ポルノの被害者が増えています。
特に脅されたりだまされたりして自分の裸の写真をメールで送らされる被害、児童ポルノの被害は増えており、中には小学生の被害者もいます。
被害に遭うのは女性が多いのですが、男性が被害に遭うこともあります。
対人関係の未熟さや衝動をコントロールする力の弱さがあることも
対人関係が未熟で衝動をコントロールする力の弱い子が性非行に走る場合、性的な欲求の高まりや好奇心はあっても、普通に女の子と親しくなって、年齢や社会的な状況を考え、段階を踏んでセックスに至るという手順が踏めないこともあります。
また衝動を抑えられないことから、いきなり自転車で近付いて女の子の胸を触ったり「自分は刑事だ」などと言って、性交渉の対象とはなりにくい小さな子に接近し、性器に触ったりするケースもあります。
早い段階で子どもの行動特性に気づき、適切な療育や指導を行うことができれば非行を防ぐことができる可能性が高まります。周囲の大人が子どもをしっかりと見守り、おかしいと思えば専門家へ相談することはやはり大切なことなのです。
参考URL
SNS利用による性被害から子どもを守るには(政府広報オンライン) https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201508/1.html
平成30年中における 少年の補導及び保護の概況(警察庁) https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/hodouhogo_gaikyou/H30.pdf
子どもはなぜ性非行に走るのか
性非行に走る子どもや性の問題行動を起こす人は自尊感情が低いという特徴があるようです。また、日本ではきちんとした性教育を学校でも家庭でもしていないため、子どもたちが正しい性知識がないのも問題としてあげられます。
自尊感情が低い
自尊感情が低い人は自信がないため、力関係で自分と同等又はそれ以上の人の前では委縮しやすく、自分よりも力の弱い者に対して支配的な行動に出がちです。
その場合、本人よりも年齢の低い幼児や児童に対して犯行に及びやすくなります。さらに、犯行に及んだ後に悪いことをしてしまったと思ったとしても、それが非行の抑制にはつながらず、発覚して検挙されるまで犯行を繰り返してしまうことがあります。
親に愛されていないと思う子ども、自分で自分を大切だと思えない子どもが、お金をもらえるから、優しくしてもらえるからと目先の欲求や表面的な優しさにとらわれて援助交際を繰り返すことがよくあります。
また、性非行に走ったり、加害者になったりする人は性的な虐待や被害を受けていたケースが多いことも分かっています。
正しい性知識がない
日本の性教育では生殖の知識について教えてもセックスや避妊について教えることはほとんどありません。
また子どもが親と気軽にセックスや避妊について話すという家庭もあまりないのではないでしょうか。
そのため、子どもたちは性知識を気軽に見ることができるネットやアダルトビデオから得ることが多く、間違った知識や偏った情報にさらされた状態になっています。
そのため、映像で目にしたものを現実のものと勘違いして、性的な欲求を高め、犯行に及んでしまうようなこともあります。
性非行を防ぐために
性非行を防ぐためには子どもが自分は愛されている大切な存在だと思えること、性行為にはリスクも責任も伴うという正しい性知識があることが大切ではないでしょうか。
自分で自分が大切だと思い、愛されていると思えば不特定多数の人に優しくしてほしいから、お金が欲しいからといった理由で関係を持つことはないはずです。
また、セックスをすれば子どもができるかもしれないし、性病のリスクもある、相手の同意がない場合は犯罪になる、といった知識が身に付いていれば、簡単に性非行に走るようなことは少なくなるはずです。
セックスのことが気軽に話せる親子というのは難しくても、子どもが日ごろから困ったことがあれば親に相談できるという関係をつくっておくことは大切なことです。