少年院とはどんな所?どのくらいで出られる?出所後はどうなる?

少年院は罰を与えるところではなく、立ち直りのための場所です。では、少年院で更生のための教育を受けた子どもたちは、少年院を出た後はどうなるのでしょうか?今回は少年院の出所後の子どもの進路や受け皿について考えます。少年院を出所後にちゃんと立ち直る子どもたちがいる一方で、残念ながら再犯する子どもたちもいます。再犯させないためには周りの大人、社会の温かな支えが必要です。

少年院とはどんな場所か

刑務所と少年院の大きな違いは罰を与えるより立ち直り、更生のための働き掛けを行うことに力を入れているところです。

未成年者が起こした事件は必要だと判断されれば、すべて家庭裁判所に送られ、家庭裁判所が処分を決めます。少年院送致は本人にとっても家族にとっても厳しい処分と受け止められがちですが、あくまで「保護処分」なのです。

少年院に決まった刑期はなく、大丈夫だと判断されれば出所となります。入所の期間はおおむね3か月から1年程度である場合がほとんどです。重大な事件を起こしたり、深刻な問題があったりする場合は2年以上となることもあります。

少年院は更生、教育に力を入れており、生活指導や職業指導、勉強の時間のほか体育の指導も行われます。

少年院がどんなところか詳しくは以下の記事でご覧ください。 

 少年院に入る理由とは?少年院の存在意義と実施される5つの教育活動

ひだかあさんのコメント

少年院は非行に走った子どもたちを、社会でもやっていけるように矯正・教育する場所なのです。

少年院を出た後の受け皿

令和元年版犯罪白書によると、平成30年に少年院から出所した人数は2156人で進路が決定しているのは4割程度。主な進路は36.2%が就職、4%が高等学校復学、1.6%が中学校復学。また進路が決まっていない少年らの希望を見てみると、41%が就職希望で最も多く、13.7%が進学を希望。進路未定は1%でした。 

多くの少年らが就職を選びますが、最近では少年院でも出所後に復学、進学できるよう力を入れています。中には高等学校卒業程度認定試験を受け、大学に進学する子どももいます。平成30年度には,全国13庁の少年院に高等学校卒業程度認定試験重点指導コースが設置されました。 

出所後は多くの子どもたちが親元に帰りますが、戻る場所がない子どももいます。その場合は更生保護施設や自立準備ホームへ行くことになりますが、それらの施設はずっといられるわけではなく、比較的安価な料金で入所している間に働いてお金をためて、いずれはそこから出て自立した生活を送るようになることが求められています。ということは、それらの施設に入っても自立するのが難しい場合は再び犯罪を起こしてしまうことになりがちです。

少年院を出所後の再犯率

少年院を出所して5年以内に罪を犯して少年院に戻ったり、刑務所などの刑事施設に入所したりする、いわゆる再犯率は2割程度です。だいたいの子どもたちは更生できますが、中には少年院から出た後に見守ってくれる人や就職先が見つからずに再犯してしまう者や昔の遊び仲間のもとに戻ってしまう者もいます。

少年院を出た後、なぜ再犯するのか

先にも述べたように、頼れる人や就職先がない場合は再犯する可能性が高くなってしまいます。成人の場合もそうですが、仕事があって、その仕事を続けることができれば再犯率は低くなります。刑務所の再入所者の7割が無職というデータもあります。

また、就職先があり、親が受け入れてくれたとしても、親や家族が少年院に入る前と変わらず問題があったり、昔の遊び仲間たちのもとに戻ったりしてしまうと本人が立ち直りたいと思っていても更生が難しくなってしまう現状があります。

少年院で優等生だったからといって安心はできません。子どもが少年院では優等生を演じているだけということもあるのです。このような子どもは周囲の影響を受けやすいため、少年院を家に帰ると、元の遊び仲間に流されて再犯することもあるのです。

少年たちを再犯させないために

少年院を出た後に再犯してしまう子どもをなくすためには、少年院を出た後に再犯する子どもたちが直面する問題を徹底的に調査、分析して、少年院を出ても再犯しにくくするための方法を見つけ、少年院での教育内容に反映させていくことが必要です。

それに併せて、少年院を出た後の支援を今以上に充実させていくことが必要です。

多くは仮退院の形で少年院を出る

少年院を出るときには、多くの者は仮退院のかたちで出ます。仮退院というのは、少年院を出ても、まだ本当の退院としては扱わず、保護観察制度で少年院を出た後の経過を見て良好と判断された場合に本当の退院として認められます。経過が悪くても、20歳になるまでと決められています。もし、少年院に入る時点で20歳まで1年未満の場合は、少年院長の権限で、1年間だけ在院させることができます。もし少年院での経過が悪くて、もっとじっくりと少年院内での教育と社会に出てからの指導を受けさせた方がよいと考えられる場合は、少年院にいる期間を延長する申請を家庭裁判所に対して行い、認められれば、収容期間が延長されます。

いずれにせよ、少年院からいずれは出ますが、そのような場合に、仮退院で出れば保護観察が付きますので、そのときには保護司さんや保護観察官とよく相談して仕事を決めたり学校に進学したりすることになります。自分だけで判断せず、よく相談して事を進めることが大切です。

就労するための道のり

少年院を収容期間ぎりぎりで出たような場合は、保護観察は付きません。その場合、少年院にいるときから就労支援を受けることもできますし、少年院を出た後に、自分でハローワークに行って職探しをすることになります。その際、自らが少年院に入っていたことを伝えて仕事を探すこともできますし、少年院に入っていたことを言わずに探すこともできます。

少年院に入っていたことを伝えた場合、そういう事実があっても雇い入れますよという雇用主さんを紹介してもらえます。そうすると、いずれ少年院に入っていたことがばれるんじゃないかなど、余計な心配をせずに務めることができます。

雇用主さんとのマッチングもあって、相性のいい雇用主さんや上司、同僚に恵まれれば、そこで立ち直ることもできます。しかし、相性が悪かったり上司、同僚に恵まれないと、辛い思いをしてやめてしまい、再犯に及ぶという危険性もあります。

少年院に入っていたことは触れずに就職を探すと、より一般的な仕事に就くことができます。しかし、条件もより厳しいものになる可能性があります。実力を評価してくれるような雇用主さんや職場環境があれば、そういう職場でもやっていける可能性があります。

自助グループも活動中

少年院出所者の自助グループもあります。自助グループ「セカンドチャンス」は少年院に入ったことがあること、立ち直る気持ちがあることの2つの条件を満たしていれば入会することができます。セカンドチャンスでは少年院出所者同士での交流会などを開き、体験などを分かち合って仲間で支え合う活動をしています。

働く場所や学ぶ場所を保証し、悪い仲間たちに再び感化されないようにする。そのためには周囲の大人たちや社会の支援が不可欠です。

・少年院出所者の自助グループ「セカンドチャンス」のHP

https://secondchance-tokyo.jimdofree.com/

・「セカンドチャンス」ブログ

http://secondchance1.blog37.fc2.com/

 

参考URL

 令和元年版犯罪白書 http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/66/nfm/mokuji.html

ひだかあさんのコメント

少年院を出た子どもたちが立ち直るためには、周りの温かな支援が必要です。

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