子どもを犯罪者にしないために。もし罪を犯した場合の親の責任は?

未成年者による殺人事件やいじめ問題のニュースを見聞きすると、自分の子どもが加害者になったり犯罪に手を染めたりしないか心配…という親御さんも多いのではないでしょうか。

今回は子どもを犯罪者にしないために、子育てで気を付けたいことについて考えます。子どもが非行に走るとき、子どもは周りの大人たちにSOSのサインを出しています。

子どもが犯罪者になるサイン

未成年者が起こした複数の殺人事件を分析した研究によると、事件を起こした子どもには以下の特徴があることが分かっています。

1. 幼少期から問題行動を頻発していた

両親に虐待を受けていたり、育児ストレスを強く感じている親に育てられていることが多く、幼い頃からお菓子を盗み食いしたり、親の財布から金を持ち出したりするような問題行動があったケース。問題行動は親の関心を引きたいというサインだったが見過ごされ、罪の意識や規範意識が育たないまま成長したケースなどがあります。

2. 表面上は問題を感じさせることがなかった

発達的な偏りがある、精神障害が疑われるケース。友達はいても、深い付き合いができない、家族との関係も本音を出さず、表面的な関係になってしまっている。年齢に応じた人間関係が構築できないまま成長し、傷ついた心や不安を抱えている。

3. 思春期になって大きな挫折を体験した

勉強やスポーツができ、親から甘やかされて育ったが、思春期に自分で抱えられないような挫折を体験してしまい、自暴自棄になってしまったケース。

親はできる子どもをちやほやする一方で子どもが本当に困っている時には向き合ってこなかったため、子どもも親に対してSOSが出せない関係になってしまっていることが多い。

上記の特徴に加え、父親や父親に代わる人物がいても、その人物が「父親の役割」を果たしていない家庭で子どもが事件を起こしたケースも多く見られます。このような特徴を見ていると、一つくらいはうちにも当てはまる、という人も多いのではないでしょうか。

上記の特徴があっても犯罪に走らない子どもが大半でしょう。犯罪者になってしまう子どももそうでない子どもも紙一重なのです。

ひだかあさんのコメント

子どもが事件を起こすなんて、うちには関係ないと思われるかもしれませんが、事件を起こしたのが一見普通の家庭の子どもというケースはよくあります。

子どもの非行のサインを見逃すな

子どもが非行に走る時にはいくつかのサインがあります。

  • 喫煙、飲酒
  • 夜遊び、学校をさぼる、無断外泊
  • 服装が派手になる
  • ゲームや漫画、服など親の知らない物を持っている

ほかにもありますが、上記のサインが見られたら注意が必要です。「これくらい大丈夫」と見過ごしていると、取り返しのつかないことになる可能性もあります。

「あのときにちゃんと話を聴いておけば・・・」「あのときにちゃんと叱っておけば・・・」と後悔しても遅いのです。特に思春期は子どもも不安定な難しい時期。非行のサインに気が付いたら周りの大人がしっかり対処することが大切です。

特に「子どもは親の鏡」ということを意識して、子供を責める前に親自身が自らや家庭を振り返ってみることが大切です。

子どもが罪を犯した場合、親も責任を問われる

未成年者が事件を起こして警察に捕まり、必要だと判断されると、いったんはすべて家庭裁判所に送られます。

成人が起こした事件で軽い事件以外は、裁判所に送られる前に検察庁に送られ、裁判の必要がないと判断されれば不起訴もありえます。しかし、未成年者の場合は不起訴で無罪放免とはなりません。

14歳以上で殺人など重大な事件であればまずは家庭裁判所の審判で処分が検討されます。そのうち、16歳以上で重大な事件を起こした場合は、原則として検察官に送致され、成人と同様に裁判を受けることになります。それ以外の事件は家庭裁判所で更生のための処遇が決められます。

また、子どもが人を傷つけたり、物を壊したりした場合は「監督不行き届き」で親が責任を負うことになります。けがをさせた場合は治療費や慰謝料を支払わなくてはなりません。また、物を壊した場合は賠償の責任があります。

子どもを犯罪者にしないために子育てで気を付けたいこと

先に述べた事件を起こした子どもの特徴、非行のサインでも見られるようにちょっとしたことから道を踏み外してしまう子どもが多いのです。普段から子どもをちゃんと見ていれば、話を聞いていればよかったと後悔しないように、子どもと向き合いましょう。

毎日は無理でも週に1回くらいは一緒に食事を取る、子どもの話は最後まできちんと聞くなどできることはたくさんあります。困ったことがあった時、SOSを出せる親子関係をつくることができていれば、子どもを犯罪者にしなくて済むのではないでしょうか。

子どもが話しかけてきても、時間が取れないこともあります。そのときは「今は忙しいから後でね」と言って、子どもを待たせても良いのですが、後で必ず時間を取って子どもの話を聴きましょう。

「後でね」と言うだけで話を聴かないでいると、大変なことになるかもしれません。逆に、親が約束を守れば子どもも親を信頼して待つようになりますし、忍耐力も身に付けることができるでしょう。

また、子どもが友達にけがをさせたり、万引きをしてしまったりといった問題を起こした場合に親が被害者に真摯に謝る姿を見せることも重要。親が泣いたり、必死に謝ったりする姿を見て「悪いことをしてしまった」と反省する子どもは多いのです。

少年院に入った子どもたちは「もっとかまってほしかった」「話を聞いてほしかった」「ちゃんと叱ってほしかった」と話すそうです。子どもと向き合う大切さを痛感させるエピソードではないでしょうか。

こんな風に育てると子どもは犯罪者になる⁉

子育てに「こうすればよい」というマニュアルや絶対的な正解はありませんが、子どもが犯罪者になるであろう育て方ならあります。逆説的ですが子育てを考えるきっかけにしてもらえればと考え、引用します。

小田原少年院で配布されている「非行化の手引き」です。

(※編注・以下、引用です)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・子どもを非行化させるコツ教えます

―実践から見たベスト10―

  1. 幼い時から冷たく放りっぱなしにせよ。遊び相手になるとかスキンシップはまったく無用。
  2. 欲しいといったら何でもすぐ買い与えよ。我慢させることは絶対に禁物。
  3. 子どもの間違いや失敗は理由を問わず叱り飛ばせ。口でいうよりひっぱたくほうが一層よい。
  4. 子どもが何をして遊ぼうが気にとめない。遊び仲間についてもまったく知る必要はない。
  5. 兄弟やよその子と比較して、「お前はバカだ、誰々を見習え!」を連発せよ。
  6.  忙しいのに食卓の団らんなどは無駄。子どもの話題や関心など無視すればよい。
  7. 子どもが善いことや努力をしてもめったに褒めるな。むしろ、ごまかしや裏切りなど、悪事をうまくやったら必ず褒めよ。
  8. 子どもの前では決して夫婦間の意見を一致させるな。特に父親は難しい問題からうまく逃げよ。
  9. お金こそ人生のすべてであると身をもって教えこめ。宗教や精神生活を軽蔑させよ。
  10. 子どもの前で、常に法律・学校・役所の悪口をいい、社会の決まりや公共機関への敵意を植え付けよ。

もし、以上のすべてを忘れたとしても、次のことだけを心がけるならば、子どもの非行化は効率よく進むでしょう。

「いつも夫婦仲悪く暮らし、憎しみ合い、できれば不貞を働き、大人のエゴをむき出しにすること」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー※編注:引用ココまで

子どもをしっかり見て、よいことは褒める、悪いことは叱る。当たり前のことですが子どもが道を踏み外さないようにしっかり見守るのは大人の責任ではないでしょうか。

ひだかあさんのコメント

子どもが健やかに成長するためには、子どもが愛されていると実感できることが大切なのが分かります。養育者の無関心が子どもにとって何よりつらいことなのではないでしょうか。

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