国家公務員で犯罪心理学の知識が生かせる職業をご紹介

 一口に国家公務員と言っても裁判所や税務署、法務局、ハローワークなどいろいろな仕事があります。今回はこのサイトのテーマでもある犯罪心理学の知識が生かせる国家公務員の仕事をご紹介します。 

国家公務員で犯罪心理学の知識が生かせる仕事4選

今回ご紹介するのは国家公務員で犯罪心理学の知識が活かせる仕事です。ここでは以下の4つの職業について解説します。これらの仕事に就くためには国家公務員採用試験を受験する必要がありますが、矯正心理専門職と法務教官、保護観察官については、いずれも法務省専門職員(人間科学)試験として同じ日程で採用試験が行われるため、併願することはできませんので、予めどの職種を受験するかを選んでおく必要があります。 

1.法務省総合職(人間科学)

2.矯正心理専門職

3.法務教官

4.保護観察官 

大学で犯罪心理学や社会学、教育学、法律、福祉を学んでいて非行少年や犯罪者の更生に関心がある人におすすめできる仕事です。受験に関する情報も合わせてご紹介します。

行政職と公安職

公務員にもいろいろな職種があり、区分があります。

今回紹介する職業のうち、保護観察官は行政職です。公安職は治安の分野を担当する仕事で鑑別所や刑務所、少年院で働く矯正心理専門職、法務教官は公安職となります。少年鑑別所や刑務所、少年院で勤務する場合は夜勤を含む交代制の勤務もあります。公安職の給与は行政職に比べ12%程度(2020年現在)水準が高い公安職俸給表が適用されます。 

法務省総合職(人間科学)

国家公務員総合職はいわゆる「キャリア」と呼ばれている上級幹部候補です。

法務省総合職には心理学や教育学、社会学などを専攻した大卒・大学院卒向けの人間科学区分での募集があります。人間科学区分で採用されると法務省矯正局、保護局に配置され、全国の現場と法務本省を行き来して経験を積みます。防犯、更生、再犯防止などの政策の企画・立案にも関わります。

法務省総合職(人間科学)の仕事

採用されて数年は地方の少年院、少年鑑別所、保護観察所などの現場で法務教官、保護観察官として働き経験を積みます。

その後は現場と法務省本省で勤務するほか、他の省庁との人事交流、海外研究機関への配置もあります。専門性と現場での経験を生かした政策の企画・立案が求められます。

法務省総合職(人間科学)の受験方法

国家公務員法務省総合職試験(人間科学)に合格しなくてはいけません。

試験対策はもちろんのこと、法務省ホームページに説明会やインターンシップなど職員採用のための情報が掲載されるので、日程などをしっかり確認しておくことをおすすめします。 

ひだかあさんのコメント

分かりやすくいうと、総合職はいわゆる「キャリア」で上級幹部候補。これから紹介する専門職員は専門職としてほかの行政機関や地域と協力してやってゆく「現場監督」的な働きを期待されています。

参考URL

法務省総合職試験の案内(法務省ホームページ)

法務省総合職入省案内パンフレット

矯正心理専門職

法務省専門職員(人間科学)採用試験の矯正心理専門職区分で採用される専門職員で、法務技官とも呼ばれます。

少年鑑別所や少年院、刑務所などに勤務する専門職員で、今回紹介する仕事の中で最も臨床心理学、犯罪心理学を活かせる仕事といえます。

矯正心理専門職の仕事

少年鑑別所、少年院、刑務所などの非行・犯罪臨床の現場で心理学の専門性を活かす仕事です。

具体的には非行少年や犯罪者と面接、各種心理検査をして、罪を犯してしまった原因を分析したり、今後の処遇について方針を決定したりします。

矯正心理専門職の受験方法

国家公務員法務省専門職員(人間科学)採用試験の矯正心理専門職区分を受験し、合格することが必要です。

心理学、教育学などの専門知識のほかに国家公務員試験の基礎能力試験の対策も必要です。身体検査もあります。

法務教官

少年院、少年鑑別所で働く専門職員です。生活指導や学習指導などを行い、社会復帰のための支援をします。

また、刑務所や拘置所で勤務し、受刑者の教育的な活動の企画立案や再犯防止プログラムなど、実際の指導を行います。生活指導や就労指導などを行うこともあります。

法務教官の仕事

少年鑑別所では矯正心理専門職の法務技官と協力して少年の観護処遇を行います。面接、行動観察をして家庭裁判所の審判や少年院・保護観察所などで使われる資料を提供します。

少年院では生活指導、学習指導などの矯正教育を行います。

少年鑑別所においても少年院においても職員の大半は法務教官であり、その仕事は幅広く少年の指導のほか、面会の受付や施設・物品の管理などの総務的な仕事もあります。

法務教官の受験方法

国家公務員法務省専門職員(人間科学)採用試験の法務教官区分に合格する必要があります。心理学、教育学、福祉・社会学の専門知識の試験ほか、基礎能力試験、身体検査もあります。 

【関連記事】少年院に入る理由とは?少年院の存在意義と実施される5つの教育活動

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保護観察官

地方更生保護委員会や保護観察所で非常勤国家公務員で実質的にはボランティアである保護司と協力しながら、保護観察に関わる仕事を行います。

心理学や社会学、福祉学など保護更生の知識を活かし、刑務所や少年院から出所した人たちが再犯せずに社会復帰できるよう支援します。

保護観察官の仕事

地方更生保護委員会では、刑務所や少年院からの仮出所・仮釈放の審理に必要な調査をするほか、保護観察解除などに関する事務を行います。

保護観察所では保護司とともに家庭裁判所の審判で保護観察処分を受けた少年や少年院を仮退院した少年、刑務所や拘置所などの刑事施設を仮釈放された者、審判で保護観察付きの執行猶予となった者などの保護観察を行うほか、そうした対象者の生活環境の調整を行います。また、社会を明るくする運動など犯罪予防のための活動も行います。

保護観察官の受験方法

国家公務員法務省専門職員(人間科学)採用試験の保護観察官区分に合格する必要があります。心理学、教育学、社会学、福祉の専門知識のほか、基礎能力試験もあります。 

関連記事・【保護観察官を目指す人向け】仕事内容は?どうやったらなれるのか?

参考URL:矯正心理専門職・法務教官・保護観察官の採用情報 

法務省専門職員(人間科学)募集パンフレット(法務省)

 法務省専門職員(人間科学)採用試験案内(法務省ホームページ) 

・法務省専門職員(人間科学)採用試験情報(人事院国家公務員採用情報ナビ)

ひだかあさんのコメント

以上、4つの国家公務員の仕事をご紹介しましたが、それぞれの施設で見学を受け入れたりインターンシップを実施しているところもあるので、関心のある方はそれぞれの施設に問い合わせてみましょう。

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