性犯罪を起こす加害者の心理にあるのは「支配」。性犯罪はなくせるか

被害者の心と身体に深い傷を負わせる性犯罪。日本では2018年に「魂の殺人」といわれる強制性交(強姦)等が1,307件も発生しました。

強制性交という言葉は耳慣れない方もおられるかと思いますが、以前は女性のみを被害者とする強姦とされていたものが、2017年6月に公布され、同年7月に施行された刑法の改正によって罪名が強制性交に変更されました。

それに伴って、被害者の性別を問わないようになり、刑罰も重くなっています。

一口に性犯罪といっても強制性交やのぞき、痴漢などいろいろな犯罪があります。性犯罪の加害者はどんなことを考え、どのような心理で罪を犯すのでしょうか。

今回はさまざまな性犯罪者の特徴や性犯罪をなくすために必要なことについて考えます。

性犯罪者の心理

自分より弱いものを支配したり、押さえつけたりすることで優越感を得る「支配欲」。あらゆる性犯罪のベースになっているものは「支配欲」です。

支配欲を満たし、ストレス解消のために相手を使ってもいいという相手を見下した考え方や、相手が我慢してくれる、受け入れてくれるという甘えが性犯罪の根底にはあります。

また、性犯罪者は相手が恐怖のあまり抵抗できないのを「受け入れてくれている」「抵抗されないのは合意」と自分に都合よく解釈し、反省がなく加害の意識が薄いのも特長です。

なお、これまでは女性が被害者になりやすいという世間一般の通年もあって表面化しにくかったことですが、男性が性犯罪の被害者になることも。

男性の被害者は年齢層が低いのが特徴で、やはり自分より弱いものを支配する女性側の「支配欲」が性犯罪を引き起こしていることが分かります。

また、本来の性が男性同士や女性同士といった関係で生じた性犯罪も対象としています。

ひだかあさん

世の中が複雑で多様になったことに伴って、性犯罪のとらえ方も変わってきているんですね。

性犯罪の主な種類と加害者の特徴

性犯罪にも様々な種類の犯罪があります。ここでは主な性犯罪の種類と加害者の特徴について見ていきましょう。

強制性交(単独型、集団型)

繰り返しになりますが、以前は「強姦罪」と言われていたものが、2017年に刑法が改正され、「強制性交等罪」となりました。

以前の被害者は女性のみでしたが、現在は被害者の性別を問いません。処罰対象となる行為も性交から「性交、肛門性交又は口腔性交」に拡大されています。

特徴として、加害者は被害者の知り合いのことが多く、単独型、集団型どちらも衝動的ではなく、計画的であることが多いといわれます。

犯人は若年層で教育、経済水準が低いのが特徴で、自分自身に自信が持てない、加害者が男性の場合は女性に対する恨みや劣等感を抱えているといわれています。

ただ、単独型の場合に比べて、集団型の場合は、事の成り行きで流れに乗って被害者に対して強制性交を行うという者も含まれています。

そういう巻き込まれて犯行に及んだような場合は、発覚して処罰されるとその後繰り返すことは少ないと言われています。

強制わいせつ

強制わいせつとは、被害者が性的な意味で恥ずかしいと不快に思う行為のことをいいます。

同意なしでキスをしたり、胸やお尻、陰部に触ったりすることも強制わいせつとなります。

強制わいせつをする加害者も、強制性交と同じように自分に自信が持てなかったり、加害者が男性の場合は女性に対する劣等感を持っていたりすることが多いです。

幼児性愛(児童への性的行為)

幼児性愛は精神医学ではペドフィリアと呼ばれ、性的な嗜好異常とされます。

先天的な真性ペドフィリアと、成人の身代わりに子どもに近づく代償性ペドフィリアの2つに分けられます。

どちらも内向的な性格で対人関係が苦手。就職や結婚、恋愛などで失敗していることが多く、人間関係にコンプレックスがあることから、緊張せずに触れ合える子供へと関心が向かってしまうのです。

のぞき、盗撮

他人の家をのぞいたり、公衆トイレにカメラを設置したりするなどの行為です。

盗撮はのぞき行為の一種で、のぞきは目で見て空想上で相手を犯すという欲求を満たすために犯行におよびます。

のぞき、盗撮は迷惑行為違反条例や軽犯罪法違反となります。

のぞきや盗撮を繰り返し犯してしまう人の中には裸や性行為、排せつ行為などを見て性的興奮、満足を得るという病的な窃視病であるケースもあります。

また、のぞきは欧米より日本に多い犯罪といわれています。

かつての日本の一般家庭には個室が少なく、幼いころ、川の字で寝ていて両親のセックスを見てしまったことがトラウマで犯行の原因となっているという指摘もあります。

痴漢

性犯罪の中で最も発生件数が多いのが痴漢でしょう。満員電車で密着しているのだから触りたくなるのは仕方がないと、他の性犯罪に比べても罪の意識が低いのが特徴です。

加害者はごくごく普通のサラリーマンであることが多く、性欲が抑えきれずに痴漢したというより、日常のストレスを痴漢で解消することが多いといわれます。

再犯率が高いのも特徴で、「窃触症」「強迫的性行動症」といった病気の可能性もあります。

性犯罪を軽く見る社会が要因になっている

性犯罪のキーワードとなるのは「支配」です。自分より弱いものを押さえつけて優越感を得ることで満足感を得られるから加害者は性犯罪に手を染めるのです。

「触られたくらいで」と被害を軽く見る風潮や、「派手な格好をしていたから」「夜中に出歩くから」と性犯罪の被害者に落ち度があるといった世間の目も性犯罪を見えにくくし、発生を助長しているといえます。

性犯罪の再犯率

性犯罪の再犯率は13.9%で10人に1人以上が再犯しています。

また痴漢44.7%、盗撮36.4%と高く、窃触(視)症など病気でやめたくてもやめられない加害者の存在も指摘されています。

被害者を減らすためにも、カウンセリングや医療につなげるなど再犯させない仕組みづくりが必要です。

性犯罪をなくすために

性犯罪の被害者は、心に深い傷を負います。恐怖のあまり外出できなくなったり、異性とうまく向き合えなくなったりするなど長い間苦しむことも少なくありません。

被害の深刻さを考えると、再犯させないよう、必要であれば加害者を治療し、カウンセリングなどで認知のゆがみを取り除くなどの取り組みが必要になります。

2020年1月18日、センター試験初日に受験生を痴漢から守ろうと行動した人たちがいました。

このような性犯罪を許さない、という社会の視線も性犯罪をなくすためにはとても大切です。

犯罪者に税金を使って治療するのか?という声もあるかもしれませんし、加害者は一生閉じ込めておけという意見もあるかもしれません。

でも、一生刑務所に閉じ込めておくにもコストがかかりますし、そのまま刑務所を出所して再犯してしまえば新たな犠牲者が出てしまいます。

そうならないようにするために、刑務所では再犯を防止するための教育に力を入れるようになっています。

しかし、大切なのはその受刑者たちが社会に戻った後なのです。

自分や周りの大切な人たち、子どもが性犯罪に巻き込まれない社会をつくるためには再犯させない制度や環境を整えることも必要なことなのです。

ひだかあさん

性犯罪を許さないという世間の視線、再犯させない制度や環境があれば、性犯罪は減らせるはずです。

参考URL

2018年に日本で発生した強制性交等の発生件数について。警察庁の統計。平成30年の刑法犯に関する資料統計

https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/H30/h30keihouhantoukeisiryou.pdf

痴漢の再犯率(平成27年版犯罪白書)

http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/n62_2_6_5_2_6.html

盗撮の再犯率(平成27年版犯罪白書)

http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/n62_2_6_5_2_7.html

「まじで痴漢やめろ」センター試験痴漢に電車内パトロールで対抗、女子中高生や男性も(BUSINESS INSIDER)

https://www.businessinsider.jp/post-206010#cxrecs_s

「性犯罪を起こす加害者の心理にあるのは「支配」。性犯罪はなくせるか」への5件のコメント

  1. 性犯罪者の刑が少ない、もっと増やせ、出すなと思っています。ただ、知人の警察官に聞いてみたり色々調べたら、人権がある、金がかかる、などの問題を聞きました。ですが、被害者が脅されたり、どうしようもない状況に落ちたり、心身共に傷が付けば加害者より苦しむ事になると思います。絶対に許せません。被害者の人権は尊重されないのでしょうか。加害者達を更生させるとは言ってもこの記事を読む限り、再犯が10人に1人と言う残念な結果。ほんとにそれでいいとは思いません。私の周り性犯罪はいまだ聞いていませんが、ニュースの記事を見たりすると許せないほど怒りが込み上げてきます。また、これから知人が被害者になると考えたら怖くなります。私は知識が少なく感情に任せたコメントだと思います。すみません。でも、絶対に許せません。

  2. コメント,ありがとうございます。
    再犯をなくすために,少年院や刑務所,保護観察所などで性犯罪者の処遇が行われたり,より効果的な処遇を開発するための研究も行われているのですが,それでも性犯罪者の13%は再犯してしまうのですね。
    性犯罪を行っても,捕まってさえいない人も大勢いるはずで,その分被害者もいるわけですから見過ごすことはできません。
    警察は,実際に事件が起きてからでないとなかなか動けないようなところもあります。ですから,市民のレベルで犯罪を予防するための活動をしていくことが大切ではないかと考えています。
    先にコメントしてくださった方を含めて何かアイディアのある方,どうぞコメントをお願いいたします。

  3. ひだかあさん、はじめまして。
    わたしは、幼少期の経験から「人の心」心理に興味があります。

    私自身幼少期、学生時代痴漢をされた経験があります。
    高校生の時はのぞきもされ、
    犯人と目が合う経験もしました。
    当時、誰にも打ち明けられず恐怖と不安な時期がありました。

    そして、
    高校時代の友人の話です。「レイプされたことがある」と
    心を開き話てくれたことがあります。
    こんな身近に、性犯罪があるとも思わず
    彼女の前で、悲しくてくやしくて泣くことしかできなかった。
    今、わたしが大人になり
    わたしの立場で何ができるのか 
    ずっと考えています。

    被害者の方へのサポートとケアは十分な社会なのかなぁ?
    わたしの日々の生活では知り得ない情報です。

    そして、加害者の心を治療していけるのか。
    再犯をくり返さない方法。
    そこにも、サポートとケアがいるのだと思うんです。 
    『心の根っこには支配』
    抑圧されている人が多いのかなぁ、、、
    抑えつけるとは、どういう態度なのか、

    まとまりない内容になりました…。 
    市民として
    私にできることは…
    例えば、加害者と話すことがある時
    高圧的な雰囲気にならない
    心が開きやすくなる
    話し方とかありますか?
    あと、子供への接し方など
    犯罪を犯す前に、何かできることはないですか?
    わたしは、母親です。
    子供たちと接する機会も多いです。
    アドバイスいただけたら、幸いです。

    1. Yさん,コメントありがとうございます。
      Yさんも辛い時期も経験なさったんですね。
      犯罪を防止する上で大切なことは,
      できれば子どものうちから人を思いやる気持ちを育むことが大切ではないかと思います。
      親に限らず,周りの大人たちや子どもたちからどんな接し方をされたかによって左右されると思います。
      子どもたち温かい心を伝えることがとても大切だと思います。
      「人はほほずりされただけ人に優しくなれる」と言います。
      逆に言えば,「人から優しくされた経験がなければ人に優しくなれない」ということになります。
      リンゴの味をいくら説明されても,食べてみないとリンゴの味は分からないのと一緒です。
      口で「優しくしなきゃだめよ」と叱っても,子どもは分からないでしょう。
      子どもは人から優しくされてみて優しさを自然に学びます。

      大人が子どもに敬意を持って接することも大切です。
      罪を憎んで人を憎まずと言いますが,
      子ども自身とその行為を分けて考えることが大切です。

      また,自分自身が正直な気持ちでいることも大切です。
      子どもの行為を見て怒りが湧くこともあるかもしれません。
      時には正直な気持ちをぶつけてみることが必要なときがあるかもしれません。
      しかし,気落ちをぶつけることで,かえって子どもにダメージを与えることもあります。
      まずは自分の気持ちにも気付いていることが
      相手の状況をキャッチするのと同じくらい大切です。
      気持ちをぶつけるのがまずいと思ったら,一旦その場から離れるのも手です。

      以上,少しでも参考にしていただければ幸いです。

  4. ひだかあさん、お返事ありがとうございました。
    モヤモヤしていた気持ちがクリアになりました。
    勇気を出してコメント欄に書いてよかったです。
     
    わたしは、大人です。が、、、
    大人なのに、まだまだ未熟なところがあります。

    ひだかあさんのアドバイス、お返事を何回も読み返し
    改めて思ったことがあります。
    思いやり、優しさ、のある大人でありたいと思います。

    そして、自分自身の気持ちにも
    気づく練習もしたいと思います。

    これから先、怒りの感情むき出しで
    相手にぶつけそうになったら
    ひと呼吸おいて
    場を離れてみようと思います。

    ひだかあさん、
    分かりやすいアドバイスありがとうございました。

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