DV加害者の心理とは?DVはなぜ起こる?そしてやめさせられる?

昔は夫婦喧嘩、色恋沙汰のもめごと、などとされることもあったドメスティック・バイオレンス(DV)ですが、2001年にDV防止法が制定され、DVが状況によっては深刻な被害をもたらす問題だと認知されるようになりました。

この記事ではDVとはどんなものなのか、DVの加害者、被害者の心理、DVをやめさせる方法について取り上げます。

 DVとは何か?彼氏彼女間でもDVは成り立つ

ドメスティック・バイオレンス(DV)とは配偶者や恋人、元の配偶者、恋人、家族などからの暴力を指します。結婚や同棲をしていなくても、DVは成り立ちます。

近年では交際中の恋人間の「デートDV」についても注意が呼びかけられるようになりました。DVがどんなものなのか具体的に見ていきましょう。

DVとは暴力による支配

DVは配偶者や恋人を暴力によって支配します。DVの暴力にはいろいろな種類があります。殴る、蹴るだけが暴力ではありません。

言葉や経済的な暴力もあります。DVの加害者は主に男性ですが、最近では男性が被害者になるケースも見られます。

DVの種類

主なDVの暴力は以下の通りです。暴力で相手の心身を傷つけることは犯罪です。傷害罪や暴行罪などに問われる可能性もあります。生活費を渡さない、デートの費用をいつも負担させるなどの経済的な暴力もあります。

1..身体的暴力

殴る、蹴る、相手に向かって物を投げる、唾を吐きかける、突き飛ばす、髪を引っ張る、足を引っかけて転ばせる、刃物などを突き付ける、家や部屋から出さない、タバコなどで火傷させる、など。

2..精神的暴力

大声で怒鳴る、大きな音を立ててドアを閉めたり蹴ったりする、暴言を吐く、無視する、不機嫌を相手のせいにする、暴力を相手のせいにする、SNSで誹謗中傷する、電話やメールなどをチェック、家族や友人と連絡したり会わせないようにする、行動や服装などを監視、ほかの異性との接触を許さない、子どもに危害を加えると脅す、など。

3..経済的暴力

生活費を渡さない、デートの費用などをいつも相手に払わせる、無理やり物を買わせる、借金を返さない、仕事を辞めさせる、働くことを許さない、働くことを強要する、家計の管理を独占し相手の意見を聞かない、家計のことを考えずギャンブルをする、など。

4..性的な暴力

相手が嫌がっているのに性的な行為を強要する、無理やりポルノビデオ、ポルノ雑誌を見せる、セックスの時に痛めつけたり侮辱したりする、セックスに応じないと不機嫌になる、避妊に協力しない、など。

ひだかあさん

今見てきたように、殴る、蹴るだけが暴力ではありません。
DVも事態が深刻な場合は『これくらい、我慢すればいい』と耐えることは問題の解決を遅らせてしまいます。
ただ、DV被害を受ける前に、自分が相手を怒らせていた、なんてこともあリます。
なので、DVのレベルによっては、相手からの被害のみに注目するだけでなく、自分のことを振り返ることも大切です

 DVのサイクル

DVには様々なかたちがあることは先にお伝えしました、ある程度の期間続いて起きるDVには特有のサイクルがあり、多くの場合3つのサイクルを繰り返すと言われています。

1.緊張期

加害者はイラつき、被害者は加害者の顔色をうかがいながら怯えている状態。

2.爆発期

加害者から被害者に暴力が振るわれます。周囲にもDVが認識されやすい状態。

3.ハネムーン期

暴力がない時期。加害者は反省、被害者に謝罪をし、優しく振舞ったりする。

 被害者は3つのサイクルで加害者の態度が変わるため混乱します。ハネムーン期が相手の本当の姿だと信じたいと思い、もうしばらく様子を見ようと加害者から離れることをためらってしまいます。

DV加害者の心理と被害者の心理

DV加害者は一見するとごくごく普通の人であることが多く、周囲から「あんな良い人がDVなんて信じられない」と言われることも。

結婚前や交際前に見破ることはなかなか困難です。ここではDV加害者の心理とDV被害者の心理について述べます。

DV加害者の心理

DV加害者の特徴として、自分がDVをしている自覚がなく、自分こそ被害者という被害者意識を持っていることがあげられます。

そして、自分にはパートナーに世話をしてもらう権利、最優先にしてもらう権利があるという特権意識があります。しかし、その特権は自分だけのもので、相手の権利は認めていません。

DV加害者の論理はこうです。

  • 自分の言っていることが正しい→自分の言う通りにしない相手が間違っている→自分が怒って当然→悪いのは被害者→相手が自分を怒らせた結果、しかたなく暴力が出てしまった。

しかし、何が正しいのかを決めるのは加害者であり、加害者の気分次第で何が正しいのかは変化します。そのため、被害者は翻弄されて加害者の顔色をうかがって怯えるようになります。

また、加害者にはパートナーは自分と一心同体であり、自分のものである。愛してくれているのであれば、自分の思う通りにしてくれるといったゆがんだ思い込みがあります。

DV被害者の心理

DV被害者は「暴力をふるってしまったのはお前のせい」とDV加害者から責任を押し付けられます。

そのため、「家事育児をきちんとできなかった私にも責任はある」「パートナーの甘えを受け入れられなかった私が悪い」といった罪悪感を抱くようになります。

また、先にも述べたようにDVは緊張期、爆発期、ハネムーン期を繰り返します。ハネムーン期に加害者が反省し優しくされると「優しい姿こそが本当の姿だ」と信じ、すがりたくなってしまいます。

罪悪感を持たされ、混乱させられたDV被害者はDV加害者から離れられなくなってしまうのです。

DVが生まれる要因

DVが生まれる主な要因は以下の通りです。

育った環境

暴力を振るわれて育った子どもは暴力を振るうようになる傾向があります。また、DVを見て育つとDVを受け入れる価値観を持ってしまうこともあります。 

暴力を容認する環境(社会)

メディアにもゲームにも暴力シーンはあふれています。かっこいいヒーローが悪者を倒すために暴力を行使します。

これらは「理由があれば暴力を使ってもよい」というメッセージとなっている可能性があります。

性差別を容認する環境(社会)

DVの被害者の多くは女性です。DVが起こる背景には男尊女卑という性差別があります。

女性には優しさ、従順さ、素直さ、家族をケアするなどの「女らしさ」を求め、男性には競争に勝つ、強い、リードする、パートナーを守るといった「男らしさ」を求めます。

「男らしさ」への過剰な思い込みが守ってやる、リードしてやる、男である自分を優先せよといった言動につながることもあるのです。

ただし、最近は同性同士でパートナーになったり、男女の間でも役割が逆転していたりして、パートナー同士の関係も複雑になる傾向があります。

そのため、そうした性的な役割の点も考えながら見ていくことが必要です。

DVはやめさせられるのか

DVは加害者には自分がやっていることはDVだという自覚がなく、被害者からの相談で発覚することがほとんどです。

もし、DV加害者が専門家や相談窓口に相談に来ることがあるとすれば、被害者であるパートナーが自分のもとを去ったり、離婚されたりする恐れがある場合です。

DVをなくすためには、DV加害者が意識を変える必要があります。パートナーは自分とは別の人間であり、自分の思い通りにはならないことを心から理解しなくてはいけません。

性差別や暴力を容認する意識など、これまでに染みついた価値観からの脱却をしなくてはならないのです。時間はかかりますが根気強くやる必要があります。

被害者が悪いという言い分もあるかもしれませんが、DVという暴力を選んだのは加害者です。会社や学校などで上司や同僚、クラスメートなどに自分の意見が通らなかったから暴力を行使することはないはず。

パートナーに言い分を通すために暴力という手段を選んだのは自分であるという自覚がないとDVはやめられないのです。

DVの被害に遭っているのであれば

DVの被害に遭っているのであれば、なるべく早めに相談窓口や専門家に相談しましょう。それが、DVの被害から抜け出すだけでなくDV加害者を救い、DVのない社会をつくることにもつながります。

相談窓口

  • DV相談ナビ(電話相談。どこに相談していいか分からない場合はこちらへ)0570-0-55210
  •  デートDV110番(デートDVについてのサイト。匿名で相談できる電話相談の案内も)
  • 配偶者暴力相談支援センター(全国各地に設置されている)

www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/pdf/center.pdf

DVはだんだんエスカレートする傾向があります。深刻になる前に早めに相談するのが大事です。一人で悩まず相談しましょう

参考URL

http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/index.html

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201411/1.html 

参考図書

信田さよ子著 「加害者は変われるか? DVと虐待をみつめながら」(2015年 ちくま文庫)

山口のり子著 「愛を言い訳にする人たち DV加害男性700人の告白」(2016年 梨の木舎)

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