犯罪被害者が抱える心理的ダメージとは?2次被害と相談窓口について

犯罪には多くの場合、予期せず遭遇するものです。犯罪に遭われた方の御家族にとっても、それは同様です。

突然に犯罪の被害に遭遇することで被害者は心身ともに傷つきますし、その後の生活に支障が出ることもあります。

周囲にも「犯罪の被害者やその家族に対して,どのように接していいのかわからない…」と思う方もおられるのではないでしょうか。

この記事では犯罪被害者が抱える心理的ダメージと、犯罪被害者が受ける2次被害、犯罪被害者やその家族の方が利用できる相談窓口を紹介します。

少しでも犯罪被害者の心理や対応策が気になるという方は是非記事を参考にしてみてください。

犯罪被害者の時間の経過や周囲からの働き掛けによる心理的な変化

犯罪被害者は被害に遭った直後にはさまざまな心理的な問題や体調不良などが現れる可能性があります。

症状の出始めである急性期には、混乱したり不眠に悩まされたり、食欲不振に陥ったりすることもあります。周囲の方は被害に遭われた方が安心して生活できる環境を作るよう心掛けましょう。

周囲に頼れる人がいたり早めに心理的なサポートを受けると、回復しやすい傾向にあります。

ただし、中には被害に遭ったことを思い出すのも辛く、長期的に心身の不調に悩む犯罪被害者もいるのです。そのため個々に合わせた支援が重要となってきます。

犯罪被害者に生じやすい心身のダメージ

犯罪被害者には犯罪に遭遇したことで様々なダメージが生じます。

身体の変化では不眠や身体の痛み、動悸や息苦しさといった症状が現れることがあり、精神面では情緒不安定になる、集中力がなくなる、といった症状が見られるでしょう。

ほかにも外出が難しくなる、人と接するのが辛くなる、学校や会社に行けなくなるなど長期的に生活へ支障が出ることもあるのです。

事件直後に犯罪被害者が悩む3つの心理的ダメージ

犯罪被害者に事件直後に生じやすい心理的なダメージは主に3種類の反応があります。

  • 回避・麻痺
  • 再体験
  • 過覚醒

上記の3つの状態が1か月以上続くとPTSDと診断されることも。

それぞれどのような症状が見られるのか詳しく紹介します。

①回避・麻痺

回避とは被害に関連する場所や行為を避けるといった行動です。被害に遭った事件について話したがらないという傾向も見られます。

麻痺とは物事への関心がなくなることや周囲との世界が遮断されるような感覚で、感情がなくなったり、暑い・寒いといった感覚がなくなったりと、感情面でも感覚面でも麻痺が見られることもあります。

②再体験

再体験とは被害の夢を見たり、思い出したくないのに思い出してしまったりと、被害を脳内で繰り返し体験してしまうことです。「フラッシュバック」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

被害体験のことで頭がいっぱいになり、自分でのコントロールが難しい状態です。動悸などの身体の不調を伴うこともあります。

③過覚醒

過覚醒とは被害に遭った後も緊張状態が続き、常に不安な気持ちになっていたり、気持ちが高ぶっていたりする状態です。

異常な警戒心が見られる・睡眠障害になる・イライラしやすい・小さな物音に非常に驚くといった様子が見られます。

周囲から見ると、「気にしすぎなのでは?」と思うこともあるかもしれませんが、異常に緊張しているように見えるのは過覚醒によるものです。

ひだかあさん

周囲のサポートもとても重要になってくるわ!
言葉一つにも気をつけましょう。

解離症状が数日続く場合は急性ストレス障害の可能性も

解離症状とは被害事件など辛い体験を切り離して考える防衛反応です。解離症状があると被害者には自分が自分でないような感覚が生じたり、被害を他人の出来事のように感じたりします。

解離症状が3日以上4週間未満続く場合には急性ストレス障害(ASD)の可能性もあります。辛い症状が続くようでしたら、まずは被害者相談窓口に相談しましょう。

追い討ちをかけるように犯罪被害者に襲いかかる2次被害

ニュースで取り上げられるような大きな事件の場合には、マスコミから聞かれたくないことや知られたくないことまで調べたられたり、憶測で報道されたりというケースもあります。

被害者が事件そのものではなく、その後に被害に遭うことを2次被害といいます。

周囲の人が悪気なく2次被害を起こしてしまう場合もあるのです。

被害者の話を聴くときには被害者の行動を責めるような発言をしないことや、「時間が経てば解決する」などの安易な言葉を口にするのは慎み、相手の話をひたすら聴いて共感したことが伝わるようにすることが重要です。

犯罪被害者が犯罪者に対して厳しい罰を望まないケースもある

2000年に起きた西鉄バスジャック事件の被害者である山口由美子さんは、加害少年の生きづらさを感じ取り、加害少年が更生することを望みました。

自身が大けがをした被害者でありながら加害者と面会をし、加害者への理解を深め、山口さん自身の気持ちを加害者に伝えようとされました。

犯罪行為に対し第三者が厳しい罰を与えるべきであると考えてしまうこともあります。

しかし、被害者の中には加害者を厳しく罰するよりも、加害者が更生することを強く望まれるケースもあるため、被害者の気持ちに心から耳を傾けることが大切です。

犯罪被害のことで悩んでいる場合は相談窓口に連絡しよう

自身が犯罪被害に遭って悩んでいる場合や、身近な人が犯罪被害に遭いどうしてあげたらいいのかわからないときには相談窓口に連絡しましょう。

警察への相談は、緊急性のある出来事ではないけれど、警察に相談をしたいときにかけられる#9110という番号もあります。

法テラスでは犯罪被害相談の中でも法律的な面での支援が受けやすいですし、全国被害者支援ネットワークでは相談を聴く以外にも警察や裁判所への付き添い支援も行っているのです。

性犯罪被害の場合には#8103という全国統一で警察の性犯罪被害窓口に繋がる番号や、性暴力被害者ワンストップ支援センターという相談・婦人科・警察・専門機関の案内をまとめて相談できる機関もあります。

被害者ホットライン一覧

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-9.html

法テラス

https://www.houterasu.or.jp/higaishashien/index.html

全国被害者支援ネットワーク

https://www.nnvs.org/

性暴力被害者ワンストップ支援センター一覧

http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html

犯罪被害者への心理的ケアを徹底的に

犯罪被害者は心理的なダメージを受け、場合によっては長期的な心身の不調に悩まされる人も。

専門機関で適切なサポートを受けることによって、少しずつ辛い症状が和らぐ可能性もあります。

一人で抱え込んだり周囲の人間だけで解決しようとしたりせず、必要なときには専門機関に相談して被害者の心理的ケアを行いましょう。

ひだかあさん

少しでも悩みがある場合はすぐに相談しましょう。
回復の兆しとなるヒントが見つかるかもしれないわ。

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