放火を行う7種類の心理状態と放火癖について

建物や引火しやすい物に火を付け、火災を引き起こす犯罪、放火。大人が犯人であることがほとんどですが、子どもが放火する事例も存在します。

放火に至るまでの心理的な背景には色々ありますが,ここでは7つに分けて解説していきます。

また、放火癖についても見ていきましょう。

放火犯が放火を行う7つの心理

放火の背景にある心理は特徴に応じて7つに分けられます。

1.恨み・復讐

建物の中にいる人物に対して恨みや復讐心を抱いていている場合、その建物に居住している人物を殺害したり、相手にダメージを与えるために放火に至ります。

恨みや復讐の理由は、人間関係のトラブル・恋愛トラブル・金銭的トラブルなど様々なケースがあります。

恨みからの放火の場合、建物内や周囲の建物にいる人を巻き込んでしまうことが多く、大規模な火災になったり、多くの死傷者を出す結果となってしまうのです。

2.権威への反発

本人よりも強大な存在に対して、反抗する意味合いで放火に至るケースがあります。

例えば学生が学校に火を放つのには、このあと出てくる利得目的(学校に行きたくない)の他に、権威の象徴へ抗うといった意味合いが含まれることもあります。

3.承認欲求

建物が燃えている様子をネットにアップして注目を浴びたいといった、承認欲求によって放火に至るケースが見られます。

また自分で火をつけたのに119番通報し、消火活動に加わることで人に認めてほしいというパターンもあります。

人に認めてもらいたいという欲求を持つのは普通のことですが、これが歪んだ形になると犯罪につながることがあります。

4.愉快犯

放火そのものを楽しむ心理です。火を見て興奮したり、消火活動を見物することを目的とします。

放火によって、性的な満足度を得ているとも言われるケースです。

5.証拠隠滅

自分が関わった、建物内での殺人や窃盗などの犯罪を隠蔽するために、放火する場合もあります。

ただし、最近では化学の発展により、消火後でもさまざまなデータを採取でき、犯人の特定にまで至ることが多いようです。

6.利得目的

学校に放火して授業を休みにする、会社に行きたくないから火をつけるといったように、個人の願望のままに放火するケースがあります。

中には,家が嫌で,家にいなくてもいいようにしたくて自宅に火をつける場合もあります。こういった行動に至る心理を、利得目的と呼びます。

利得目的で放火される場合、多くは嫌な場所、行きたくない場所が対象になります。

学校は、子どもの放火対象の中で一番多く、「いじめられていて学校にいきたくないので放火した」という事件も実際に起こっています。

7.脅しとしての放火

「〇日に●●に放火する」などといった脅しが含まれた暴力の行使としての放火です。近年は、パソコンなどからの脅迫であれば、追跡して犯人を特定することが可能となってきました。

子ども遊びの1つとして放火をすると脅迫した事例もあります。脅迫だけで放火を実際にしなかったとしても犯罪となるので、遊び感覚であれ、放火の脅迫は絶対にいけません。

ひだかあさん

7種類のどの心理も他者のことを考えていないか、相手を傷付けたいと考えていることさえあります。

放火癖とは?

放火癖は、ICD-10という国際疾病分類では病的放火とも言われ、精神障害の一種に分類されるものです。

放火癖は、明らかな動機なしに所有物や他の物に放火をしたり放火をしようとする行為、火や燃焼に関連する対象への持続的なとらわれを特徴とする障害とされています。

この行動は、行為の前に緊張の高まりをしばしば伴い、放火行為のすぐ後で強い興奮を伴うと言われています。

なお、DSM-5という米国精神医学会による「精神疾患の分類と診断の手引」においては、疾患としてのエビデンス(証拠や根拠など)が不十分であるとして、項目から除外されています。

まとめ:放火は本人への働き掛けと放火されにくい環境づくりが大切

放火という行為は基本的に自分の欲求を満たすために行われます。被害に遭う人の事情は考慮されません。むしろ、相手を傷付けるのを楽しんでいるような場合もあります。

そうした放火の背景には、子どもの頃からの人間関係の持ち方に何らかの問題があることが多いのです。人から思いやられた経験も少ないし、人を思いやる習慣を身に付けることができていない場合も多いのです。

そのため、子どもを育てるときには,子どもに思いやりを示しつつ,人の気持ちが理解できるよう、また、自分がしたことが人にどういう影響を与えるかをしっかり教育することがとても大切です。

その際、叱ったり反省させたりするよりも、うまくできたことをほめる方が,人に対しても優しい気持ちが育つことを意識してください。

また、放火をなくすには,家の内外に気を配って放火しにくい環境を作ることも大切です。

しつけ教育の一環として、子どもと一緒に家の周りに燃えやすい物がないかを見回り、燃えやすいものがあったら、一緒に片付けたりしながら、火事の恐ろしさを伝えてみてはいかがでしょうか。

間違っている行動や考え方は、いきなり注意指導するのではなく、自分で考えさせて気が付いたらほめるようにしていくと良いでしょう。

ただし、いくら家で指導しようとしても放火を繰り返すようなことがあれば、家庭内だけで対処するのはとても難しいため、法務少年支援センターや精神保健福祉センターを訪れ、専門家の知識を借りることをおすすめします。

ひだかあさん

放火は人の命に関わる危険な行為であることを、子どものときから根気強く伝えていくことが大切ね。

「放火を行う7種類の心理状態と放火癖について」への2件のコメント

  1. 息子の子育てに失敗した60台の母親です。男の子だから厳しくと思って、嘘をついたときなどきつく叱ってきました。先生がおっしゃるように考えさせたり良いところをほめたりしながら育てたらよかったです。むすこは性依存性になり、人に迷惑かけたり警察につかまったりです。私も息子と一緒にこの人生を早く終わらせたいと願うばかりです。

    1. F.T.さん
      息子さんの子育てに失敗したと感じておられるようですが、見方によっては失敗と思っていたものが実は成功だったり、うまくいったと思っていたものが実は失敗だったということはよくあります。
      ある時代に価値観がいつまでも正しいとは限りません。そのときはそうするしかなかった。その道を選択したということです。
      ほめ続けたから必ずしも良い結果を生むわけでもなく、叱り続けたから必ず駄目になるというものでもありません。
      お子さんが警察に捕まられたりするのはお辛いでしょうね。
      親だからと言ってすべてのことに責任が取れるというものではありません。
      子どものことでであっても、親の力が及ばない問題はたくさんあります。
      あまり悲観なさらず、ご自身にできることに集中して見られることをお勧めします。
      もし息子さんのことで相談してみたいというお気持ちがおありでしたら、問合せフォームからお問い合わせください。
      状況に応じてご案内させていただきます。

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