幅広い年齢の方が犯してしまう万引き。現在はピーク時に比べると半分以下の検挙人数ですが、それでも年間6万人以上の方が万引きで検挙されています。
万引きの検挙人数の計測を行い始めた1998年頃は、14〜19歳の未成年の犯行が目立ちましたが、現在では万引きを犯す半分以上が65歳以上の高齢者です。
しかも高齢者で万引きを犯した人は繰り返し万引きを行う傾向にあります。
また、万引きを繰り返し行う事例は、高齢者だけに限らず、検挙人数の少ない20〜40代でも発生しています。
ほとんどの人が「万引きは犯罪行為」であることを認識しているのにもかかわらず、なぜ繰り返し犯してしまうのでしょうか。
今回は、万引きを繰り返す3つの原因と対処法について紹介していきます。
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万引きを繰り返してしまう3つの原因と対応策とは
販売目的で陳列されている商品を持ち去る行為、万引き。窃盗罪になる万引きを何度も繰り返してしまうのには大きく分けて3つの理由があります。
年齢によって変化する子どもの万引き
幼い子どもが引き起こす万引きは、悪いことだと認識できずに行なっている可能性が高いです。自分と人の区別が不明確であることも影響しているかもしれません。
子どもが万引きを行なった場合は、万引きは悪いことであるということをしっかり説明してあげましょう。
また、ふだんの生活の中でもこれはあなたの、これはお母さんの、これはお兄ちゃんのなどと、自分の物と人の物との区別ができるように繰り返し教え、区別ができたら「 よくできたね」と褒めて、自分の物と人の物の区別し、人の物、お店の品物を勝手に盗らないように指導しましょう。
小学生以上の年齢になると万引きが犯罪行為だと認識できます。その頃からの万引きは、何かしらの理由があることがほとんどです。
時には、いじめが関連していたり、仲間意識を強く持つために万引きを行う場合もあります。
いずれにせよ、万引きは絶対にしてはいけない行為なので、万引きが犯罪行為であると認識していない様子が見られた場合は、社会的にも認められない行為であることを説明し、犯罪行為であることを理解している場合は分かっているのに何でなのと、万引きを行なった理由を本人に聞いてみましょう。
いじめなどが関連している場合は、学校の先生や相談所に連絡し、話を聞いてもらうことをおすすめします。
いわゆる反抗期の子どもが親への反発から万引きを行う場合もあります。そういう状況では、いくら理由を尋ねたところで、だんまりを決め込んでいたり、「うるせえ、くそばばあ」というような言葉が返ってくるかもしれません。
仲間への忠誠心のつもりで万引きをした際に共犯者の名前を言わないことがあるかもしれません。そういう場合は無理に聞き出そうとはせず、誤った方法ではありますが、子どもなりに仲間関係を築く努力をして模索状態にあるかもしれません。
そのような場合、万引きが犯罪行為であることくらい当然分かっていますので、無下に叱りつけず、いずれ自分でも気が付くはずと考えて、成長を見守る姿勢を示すことも大切です。もし愛情不足が影響していると親の方が感じるならば、親子関係をよく見直すことも大切です。
お金に困っている
お金に困って万引きを行う方は、家出中の子どもにも見られますが、それよりも年配の方や高齢者に多く 見られます。
「生きていくためにはどうしようもなかった」という方もおられますが、どんな理由があろうと万引きが犯罪行為であることには変わりはありません。
どうしてもお金に困っている場合は、身寄りのある親戚などに助けを求めたり、必要があれば生活保護の申請をするなど、福祉関係機関に相談することを検討しましょう。
高齢者の万引きが常習化することも
高齢者の万引きの常習化が近年問題視されています。高齢者の場合、万引きをしてもお店側が見逃す事例が多くあり、犯罪意識が薄れて何度も繰り返してしまうようになりがちです。
中には本当の認知症の人もいますが、認知症のふりをする老人もいます。また、本当に貧乏な人は少ないとも言われています。
万引きの常習犯で服役歴もある人の中には、捕まった回数よりも盗んだ回数の方が多く、盗れるのに買うのはお金が勿体ないという心理が強く働いてしまうことがあります。
また、それまで捕まったことがない人も、お金はあっても将来への不安からお金が減らないように万引きを繰り返す人もあります。
また、家庭生活に不満を感じており、万引きでそれを解消しようとしているような場合もあります。高齢者の万引き常習化を防ぐには、福祉的な視点や医療的な視点から見ていくことが必要な場合があります。
まずは、家庭内で高齢者の様子を見守り、疎外感を抱いていないか、将来への不安を抱いていないかなどを見ていき、必要があれば改善策を講じるようにしましょう。
高齢者の方を厳しく叱ってしまうと認知症の進行が早まったりする場合があるため注意が必要です。優しく落ち着いて対応しましょう。
万引きを繰り返すのは精神的な病気が関係している場合も?
万引きを何度も繰り返してしまう精神疾患にクレプトマニア(窃盗癖)というものがあります。万引きの際に感じる緊張感の抑揚が刺激となり、何度も繰り返してしまうのです。
クレプトマニアは過度なストレスが原因で発症することもありますが、うつ病や食べることの衝動をコントロールできなくなる摂食障害と合併して発症することもあります。
クレプトマニアは、罰せられても何度も繰り返します。万引きを繰り返し行う場合は、このクレプトマニアを疑い、専門家に相談し、必要があれば専門医を受診することをおすすめします。
万引きを繰り返すのは当事者のSOSの可能性も!
万引きは窃盗罪に部類される犯罪ではありますが、何度も繰り返し犯すのは当事者のSOSの可能性もあります。未成年の場合、いじめが続いており、万引きをさせられている、大人の場合は万引き依存症に陥り、やめたくてもやめられない精神状態となっているなども考えられます。
そのため、万引きを犯したこと自体を責めるのではなく、どのような経緯で万引きを行なったのかを明確にすることが大切です。
当事者の理由を聴くときも、ただ聴き出そうとして詰問したりするのではなく、耳を傾けることを意識しましょう。
逮捕されても繰り返す場合は専門家を受診するのがおすすめ
万引きを何度も繰り返してしまう場合は、依存症になってる可能性がとても高いです。その場合は、専門家で受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。
まずは、生活習慣を正し、万引きを犯すまでの思考プロセスなどについて学び、その後少しずつ時間をかけて、「万引きをしない暮らし」を習慣化していくというのが主な流れです。
少しでも万引きで悩んでいる場合は、一度連絡をしてみましょう。
まとめ:家族やパートナーの協力が必要な場合も
万引き繰り返す行為から抜け出すためには、当事者本人だけではなく、家族やパートナーの協力が必要になります。
万引きをしたいという欲求に駆られても、家族やパートナーの力でとどまれたという事例も少なくありません。
自分自身や周りの方が何度も万引きを繰り返してしまう場合は、まず、専門家に相談し、必要に応じて専門医を受診するのが良いでしょう。
自助グループに参加すると、自分と似たような状況にある人達に出会え、仲間と一緒に完治に向け歩みを進めることができます。
改善のための行動を起こし、万引きを繰り返す行為から脱却しましょう。
職場の26才の男性職員が利用者のお金を何度か盗んだことを認めました。泣いて謝ってます。私は2度としないと約束の上、通報などせず、また一緒に仕事をしてもよいと思うのですが、他の職員はもう一緒に仕事は出来ない、利用者の家にも連れていくべきではないと言っています。仕事内容は介護で利用者の家の中に上がってする仕事です。このまま辞めさせてしまい知らない所で就職したらまた繰り返すのではないかと思います。どうするのが良いのでしょうか?
T.Y.さん
介護施設職員による利用者の現金窃盗は,犯罪行為です。金額や回数にもよるかもしれませんが,いくらその方が泣いて謝られても,被害者となった利用者の方や同僚の方,職場の社会的な信用や責任を考えると見過ごせない状況ではないかと思います。ここは可能であれば利用者さんの意向や被害状況なども確かめた上で,近くの警察署に相談なさる方がよいと考えます。警察に相談したからと言って,すぐに事件になる訳ではありません。110番通報,又は介護施設の在る地域の警察署に電話して相談する以外に,各都道府県の警察本部に警察相談窓口というのが設置されていて,色々とアドバイスをしてくれますので,そちらに相談して見られてはいかがでしょうか。
警察相談専用電話「#9110」に平日8:30~17:15にダイヤルするか,地域の警察本部の相談窓口にお電話なさってみてください。
ご参考までに全国の相談窓口の電話番号を記したPDFのURLを下に示しておきます。
https://www.npa.go.jp/bureau/soumu/soudan/soudanmadoguti.pdf