子どもがトラブルに巻き込まれて逮捕されるかもしれない…そのように悩まれている方はまず落ち着いて冷静に判断することが大切です。
この記事では、
- 子どもが逮捕された場合に取るべき行動
- 逮捕後の流れと処罰
- 家族としてとるべき対応
について詳しく説明していきます。
慌てずに、今自分ができる行動を確実に行いましょう。
Contents
子どもが逮捕されたときにまず取るべき3つの行動
子どもが逮捕されるということは親にとっても子ども自身にとってもとてもショッキングな出来事です。
子どもが逮捕されると、親も子どもに面会できないことも多いため、不安になられるかもしれません。
しかし、警察にいれば身の安全が確保されていると思って、その後とるべき行動に集中しましょう。
ゆっくりと呼吸をして気持ちを落ち着かせる
ショッキングな出来事というだけあって取り乱してしまう方も多いと思います。
しかし、まずは心を落ち付かせることが大切です。
取り乱して過呼吸などになってしまう方もいるため、気分が落ち着くまでゆっくりと呼吸をして気持ちを切り替えた上で親として適切な行動を取ることが一番重要です。
警察への事実確認
逮捕された場合、警察が家に訪れると思います。
その時に、
- 子どもはどのような罪を犯したのか
- どんな事件なのか
- 被害者は誰なのか
- 今後はどのような流れになるのか
このようなことは最低限聞き、知り、子どもが置かれている状況を把握しておきましょう。
警察官によっては説明が不足している人もいるため、理解できないところは何度も聞き返して確認しておくことが大切です。
状況によっては、事件の内容を説明してもらえないかもしれません。
そのときは焦らずに、いずれ分かるときがくると、気持ちを切り替え、時機を見て再度確認しましょう。
弁護士へ相談する
逮捕された子どもは警察に身柄を拘束されるわけですが、その後親御さんと警察・調査機関などとやり取りをするのはとても大変です。
そのため専門的な知識を持っている弁護士に相談するのが良いでしょう。
冤罪で子どもが捕まってしまった場合の対応なども行なってくれます。
子どもが逮捕されて不安と悲しみで心がいっぱいになった時でもなかなか友人や親戚には話しにくいですよね。
そんな時でも弁護士の方と話すことにより落ち着くでしょう。この期間において、弁護士は心のよりどころとなる存在となります。
なお、国選弁護人制度というものがあって、刑期が3年以上の犯罪については、本人が申し込めば国の費用で弁護士を付けられる制度があります。
それ以外のものについては、法テラスの方で弁護を引き受けるようになっています。警察の方でも本人に説明するようになっています。
ただ、納得のいく弁護をしていただけないと感じたら、有料になりますが、私選の弁護士に依頼することも考えましょう。
逮捕の後の流れとは
子どもが今どういう状況なのか、今後どのような対応が取られるのかなど逮捕後の流れを知っておくことで保護者としても少し安心できるところもあるのではないでしょうか。
流れを把握し、何かアクションを起こさなければいけない時もすぐに行動できるように準備しておきましょう。
留置施設で拘束
逮捕された後は留置施設で最大48時間拘束され、その間に警察から検察側へ事件内容の引き渡しなどが行われます。
その後、検察官が事件の概要を考慮した上で、
- 家庭裁判所
- 勾留に代わる観護措置
- 勾留
この3つの対応に分かれます。
勾留請求(こうりゅうせいきゅう)
検察官から勾留請求があった場合は、事件の調査が完了するまで最大で10日間、勾留延長が請求された場合は20日間(例外的には25日間)身柄を拘束されます。
その期間に行なった調査を踏まえ、 検察官は事件の調査記録などを家庭裁判所に送付し処分が下されます。
勾留に代わる観護措置
少年の場合に限り特別に、「勾留に代わる観護措置」という手続きを取ることができます。
この場合は、刑事施設や収容施設といった留置施設ではなく、少年の身体の取り扱いを専門にした少年鑑別所に収容されることとなります。
期間は請求した日から10日間。延長は認められません。
家庭裁判所による観護措置
家庭裁判所における審判は普通の裁判とは違い、非公開で行われます。基本的には1回で審判がくだされ終了するケースがほとんどです。
家庭裁判所が調査・審判を行うために観護措置がなされます。 観護措置の期間は2週間で、通常は1度更新されて4週間となります。
場合によっては証拠調べが行われることもあり、最大で8週間となります。自宅で家庭裁判所調査官の観護に付けにするケースと、少年鑑別所に送致する場合の2種類がありますが、基本的には後者の判断が下されます。
少年事件に下される4つの処分とは
不処分
家庭裁判所における調査の結果,保護処分に付することができない場合,もしくは,保護処分に付するまでの必要がない場合に,審判で保護処分に付さない旨の決定をすることをいいます。
その場合、家庭裁判所は何もしないわけではなく、教育的な指導を行います。 したがって、不処分だからといって安易に非行を繰り返していると、その後の審判では非行を重ねてきたことが考慮される可能性があります。
保護観察
犯罪等は認められたものの、収容施設に入るまでではないと判断された処分で、その指導は保護観察所が行います。
保護観察所では、担当の保護観察官と保護司が決められます。最初に担当の保護観察官から保護観察中の約束事などについての指導を受け、担当の保護司を紹介されます。
生活自体は自宅で送ることができますが、定期的に保護司と呼ばれる方から指導を受けることになります。
保護観察の期間は、半年程度の短いものから、20歳になるまでの間(20歳になるまでの期間が短い場合は保護観察処分を受けてから2年間)となります。
その間、保護司や保護観察官の指導を受けますが、保護司の判断を仰いだ上で、少年の生活や態度に問題がないのであれば、1年程度で保護観察処分は解除されるのが一般的です。
少年院収容
少年院は、非行に走った少年を収容して少年の健全な育成を行うための国の施設です。
家庭裁判所における審判で少年院送致の処分を言い渡されたものを収容するのみならず、16歳未満で刑罰に処せられた少年受刑者を収容して教育を行います。
少年院については、別の項目で詳しく紹介します。 家庭裁判所での審判では、不処分も含めて、それまでの保護処分歴も考慮して決定がなされますので、小さな事件であっても少年院送致決定を受けるようなこともあります。
そのため、大人が犯した罪では罰金で済むような刑罰も、少年院で半年や1年の収容の処分を下される場合もあるのです。
罰を与える施設として思い込んでいる方も多いと思いますが、あくまで「教育」を行う施設だということを理解してください。
検察官送致
検察官送致は保護というよりも、少年ではなく大人として犯した罪の責任を追求した方が良いと判断された場合に下される処分です。
殺人や強盗致傷などを他人の生命に関わる事件を起こした場合は基本的にこの検察官送致の処分が下されます。
検察官送致決定が下されるような事件については、多くの場合は弁護士さんがおられますので、そちらとよく相談しましょう。
家族としてとるべき対応
様々な対応などに追われ、心が病んでいる状態になりがちな親御さんですが、子ども自身も孤独と罪悪感で精神的にダメージを受けている可能性が高いです。
可能な限り子どもに寄り添う気持ちでいて、なおかつ冷静さを保っておくことが大切です。子どもの不安を解決するのはあくまで子ども自身であることを肝に銘じ、子どもの不安を受け止めながら子どもが自分で問題を解決するのを応援するようにしましょう。
とは言え、被害弁償など、子どもがすぐにはできないこともあります。そういう場合は子どもに手を貸しましょう。
面会や手紙で子どもとの相互理解を深める
子どもとの面会が許可されている場合は面会をし、子どもと話す時間をもうけましょう。
子どもが今思ってることなどを聞くだけで子どもの安心につながります。また、子どもの顔を見ることができるため、親御さんとしてもとても心が落ち着くでしょう。
ただし、面会ができるからといって、毎日のように家族が入れ替わり立ち代わり面会に訪れるのも考えものです。
というのは、あまりに面会が多いと、子ども自身が自分で考えを深める機会を失うことがあります。
面会に行かなさすぎるのも子どもにとってダメージとなる場合もありますが、面会に行きすぎるのも別の問題が生じるおそれがあることを意識しておきましょう。
面会の頻度については、収容されている施設の方に相談しましょう。会いにいけない時でも、手紙を送れば子どもの元に届きます。
面と向かって話しにくいことでも手紙なら伝えれることもあると思うので活用してみてください。
まとめ:悩んだ場合は支援センターなどに相談
子どもの逮捕に対する相談はあまりできないもの。
弁護士の方以外にも心の拠り所がほしいと思った場合は、法務少年支援センターなどで相談や悩んでいることを話してみるのがおすすめです。
心理面や逮捕後の流れなども詳しく説明してくれる機関なので、ぜひ一度電話をしてみてください。
電話だけの相談もできますし、必要に応じて予約をした上での面談も受け付けています。
インターネットで「法務少年支援センター」で検索すると、連絡先や住所が出てきます。各都道府県にありますので、「法務少年支援センター ○○(○○は都道府県名)」で検索すると探しやすいでしょう。